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結界師にはまりまくり☆
少年ジャンプ系、ポップンミュージック、バッテリーなどなど大好きです!
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今更離れるなんて出来ないんだ。
出会ってしまったときから、そんなこと、わかっていた。
始めて巧の球を見たときから
俺が手放せるわけないと、わかっていたんだ。
「…どうしたんだよ、豪」
「え?」
「ずっと、上の空じゃないか」
「あ、あぁ。すまん」
ぼーっとしていた。
珍しいことではない。
ここ最近ではよくあることだった。
「…なんだよ、らしくないな」
「そうか?」
「お前がぼけっとしてるなんて、らしくない」
「…そうか」
気の抜けたような返事を返してしまった。
そうだ。
らしくない。
巧に向かい合って、ミットを構えているというのに
俺は、ほかの事を考えていた。
…ほんと、らしくないな
「……懐かしいよな」
「何が?」
「俺と巧が初めてあったのって、ここの神社じゃろ?」
「ああ、そうだったかな」
「わすれたんか?」
「…覚えてるよ」
巧は、手の中でボールを回し
神社の石段に腰を下ろした。
初めて、巧にあった。
出会ってしまったんだ。
「………」
最近、考えていたのはこのことだ。
懐かしんでいるのではない。
でも、ずっと脳裏を掠めていたことだった。
「豪、お前、後悔してるか?
「ん?」
『後悔してるか?』
巧の言葉は、少しだけ胸に痛みを煩わせた
後悔?そんなもの、してはいない
違うだろ、巧。
お前が言いたいのは、そうじゃないだろ?
「…すまん、巧」
「…何」
「いや、なんでもねぇ。投げろ。俺が全部受けちゃる」
後悔じゃないんだよ、この忌々しい感情は。
お前には、一生わからないだろうけどな。
十八.四四メートル先に座る
巧の投球動作は、ずっと変わらず綺麗だった。
それでいいじゃないか。
―――――パシンッ
「…っ」
このミットに感じる熱さがあればいいじゃないか。
後悔なんか、しない。
手放せるわけがない。
「…巧」
そうだろ?
今更、離れられるわけないのだから。
end
(誰にもわたしたりしない。)