じれったい(アベミハ)

何でもかんでも、わかってるなんて。



わかってくれてるなんて、思うなよ。

「あ、おい、三橋…」


俺は、普通に声をかけただけだ。


そのはずなのに



「あ、っ…う、え」
「？なにきょどってんだよ」
「やっ、何でも、ない、よ」




コイツは今でもこうだ。


もうどれくらい立つ？
俺達が組んで、もう、どれくらいだ？


俺は、お前の力を信じてるし
すごいとも思う。


だからこそ、その態度が気に食わない。





「なんだよ、お前。言いたいことあんなら、俺聞くからさ」
「や、ない、よ…」
「…(イラッ)」







何にイライラするかって？






こいつの態度にもそうだし




俺自身にもイライラする。




なんでかわからない。










「…三橋！！」
「は、はい！？」















…嗚呼、これが駄目なんだ。











「…あ、悪い…怒鳴って」
「う、ううん」





でも、な、三橋。






俺、ただお前と普通に接したいんだよ。




この前、メールが返ってこなかったこと
根に持ってるわけじゃないけど



俺だって
泉や田島同様に



普通に…
話してくれて構わないんだ。








「あ、阿部君」
「え、あ、何だ？」
「俺……」





「三橋くーん！」









ベンチのほうでモモカンが呼んでいる。




なんだよ、三橋が何か言いかけていたのに。






「…え、あ…」
「いいよ。行ってこい」
「う、うん！」















…何でもいい。
怒ったり、しないから。









言ってくれよ。












「…じゃないと、俺一人馬鹿みたいだろ」















俺は田島みたいに、お前の思ってることなんでもわかるわけじゃない。





だから、何でもかんでも、言わなくてもわかってもらえてるなんて、思うな。

自惚れるな。














「……言わなきゃわかんねーだろ、そんなの」














話せよ。
何でもいいから、何でも聞くから。


















………じれったい。










end
(君の声で、聞きたいこと。)