解かっていたはずだろう。(恋シタ５の題)

望みのない恋だってこと。




わかっていた。

「でね？それでさ……ねぇ、恢斗くん、聞いてる？」
「え？あ、ぁ。聞いてるよ。で？その友達がどうかしたの」
「あ、うん。それが…」





聞こえてくる
途切れ途切れの会話。


聞きたいわけじゃないけど、どうしても耳を傾けてしまう。





ねぇ、あなたはあのこの前でどんな話をしているの？

どんな顔して笑っているの？






それとも







私が見たこと無いような真剣な目で見つめ、話してるのかな…










「おっはよ、智夏」
「あ、はよ。隼人」
「何々？恢斗はまた彼女とべったりなわけ」
「うん、まぁ」


榛名隼人。
この学校でも有名な女好き。

でも、私や恢斗からすると、幼馴染だから
そんなに意識はしていない。(確かに女の子をよく連れているが)






「あ、悪い。李奈。俺今日日直だから、いかねーと…」
「えっ。やだやだ！私も一緒にいく！」
「一緒にって…職員室までだから、待ってろよ」







いつもの光景。

もう、慣れてしまった。










『彼』がいないと泣き出してしまう『彼女』


いいじゃない、頼られてるってことで。
はたからみりゃ、よくできたカップルだよ。




「…はぁ、わっかんねーなぁ」
「何が？」
「智夏ってば、恢斗の事…」
「うがああぁぁっぁ！！！！」
「まだ何も言ってな…」
「いいそうになったから」
「……わっかんねー」





いいよ。


私は、いいんだ。





彼が笑って、毎日過ごせてるなら

それでいいや。








「隼人、今日後輩に呼び出されてたんじゃないの？」
「あ、やっべ！！忘れてたっ。んじゃ、ちょっくらいってくるわ」
「絶対告白だね」
「もち。だって俺だぜ」
「いいから、さっさと行け。その自信がどっから出てくるのか不思議でたまりませんよ」





まぁ、親が有名な野球選手で
顔もいいとあっちゃ、あんだけの自信ももてますか。













「…私は、どうするかなぁ…」














今更、割ってはいる隙がないくらい


知ってるよ。




解ってるよ。










だから、どうしよう…。
















進めないのは私かあなたか。










解かっていたはずだろう。





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