だって、好きなんだから(ショウカズ)

しょうがないでしょう、好きなんだから。

「でさ、カズってさぁ…」
「あの、もうわかったから」





いつもの光景…といっちゃ、その通りなのだけど。






「いや、まだだって。昨日一緒に帰ったんだけど、帰りに手つないで…」
「うん。わかったから。ショウがウザいってのはよくわかった」
「酷ぇ！」





ソラに向かっての惚気話。

実際、本人にその気は全然ない。
気付いていないというか…相手のことなどおかまいなしだ。




「あ、ショウー！！作詞終わったから、一緒に帰ろ！」




廊下から、今まさに話題に上っていた人物の声が聞こえた。


嗚呼、神様。早くこのバカップルを黙らせて…！





「おう！」






他のことなど目にはいらないような口ぶりで、一生懸命に話をしていたくせに
その彼女が現れたとたん、五月蠅かったショウの口は止まった。







「…ショウってさ、ほんと、カズちゃんのこと好きだよね」
「え？え、へへ」
「キモイ」
「………ソラ、最近俺に対して酷くね？」
「ないない。さっさといけ」
「泣くぞ」




ブーブー文句を言いながらも、
ショウの顔は緩みっぱなしだ。


はたからみたら、「だらしない」の一言だけど






「…ほんと、嬉しそうに笑っちゃって」







こっちまで、微笑んでしまいそうな二人である。













教室の入り口。

二人はほんのニ、三言話してから、こっちに手を振った。















「さて、俺もクルルに会いに行こうかな」












なんとなく幸せになってしまう、そんな二人。









end
(微笑ましいほどの恋人達)