イライラ(アベミハ)

だから、そうじゃなくって…っ！

…俺は、別に怒っているつもりはない。




「おい、三橋」
「ひっ…は、はい！！」
「……」





またこれだ







怒ってるんじゃないのに
どうしてこうも、ビクつかれているのか




「三橋、俺は別に怒ってるんじゃないから…そんなビクつくな」
「えっあ…ごめんなさい」
「謝んなくてもいいって！」



あ、やばい。




「うぇっ！…うっ…ごめ…あ、や…」
「……～っ」





違うんだ。


そうじゃないんだよ。




謝ったって、いいんだ。


普通にしてくれてていいのに
今だ、コイツには一線ひかれている気がする。







「あー…怒ってないって」
｢…で、でも…阿部、くん…」
「なんだよ」
「俺っ…に、あきれるとか…思って…」




あきれる？


なんで？



その性格にか？



「…あきれるも何も、そんなこと思ってねーよ」






いつも怒ってる風にとられるのは
多分この口調だな。



田島にも怒りっぽいといわれた。




「ほ、んと？」
「…あきれてもねーし、怒ってもねーよ。だから、そんなビクつくな」




一瞬体を強張らせはしたけど

三橋はゆっくりと顔を上げた。







ほんの少し顔を緩ませた表情が、なんとなくだらしない。

そんなとこに、一瞬キュンときた…なんて言ったら変態っぽいな。







「…あんまびくつかれってと、こっちも結構傷つくんだからな」
「えっ！？…あ、ごめん、な…」
「あやまんなって」
「…あっ」





頭をワシワシを撫で回した後、三橋は小さく笑った






俺の口調も、なんとかしなきゃな。











end
(別に、怒ってるんじゃない。)