05. そんな笑顔は認めない。

笑ってほしいとは思う。




でも、そんな笑顔は認めない。

…最近、若干疎外感を感じる。




あれ？俺、なんかおいてきぼりじゃね？





柚菜に聞いても「なんでもない」の一点張り

阿部に聞いても「さぁ」しか言わない




「あーもう！俺ってかなりのけもの！？」
「や…田島、どっちかっていうと、中心人物」
「泉！！ゲンミツに俺、どうしたらいい」
「俺に聞かれても」
「メール！」
「は…？あぁ、メールすんだ」



ケータイを取り出し、メールを打つ。


柚菜。




阿部が何か言いかけて、やめたのにも、きっと柚菜が関係してる…てか、そうとしか思えない。






「誰に打つの？」
「柚菜」
「あー。ん？南なら、そこにいるじゃん」
「うあ？」




泉が廊下を指差した。


そこには、柚菜…と阿部？




「何はなしてんのかな」
「聞いてくれば…あ、いや。やめとけ。やっぱ」
「…んー」




打ちかけたメールを削除した。


ケータイをなおす。


そうだよな、近くにいるのに
メールを送る必要なんて、ないもんな。












三橋と一緒に、早弁しながら
廊下の二人へ視線をめぐらせる。






苦笑じみた表情で、彼女が笑っている。

きっと、仲直りしたのだろう。




「田島、くんっ、顔！」
「へ？あ、そんな変な顔してた？」
「し、てる」
「あー…今日の弁当、嫌いなもんはいってたからだなー多分」



弁当を見て、ため息を漏らす
ふりをする。




実際、弁当の中身は好きなものが大半を占めている。








変な顔…してたかな。








「…笑ってんだけどな」











彼女の笑顔




それは、久しぶりのものだった。





笑っていてほしいとは思う。

それがどんな笑顔であっても。








「三橋、まだ変？」
「んっぐ、少し、変」
「そっか～」












(違うんだ。そんな笑顔は、認めたくない。)